七尾城跡の紹介
七尾城趾の鳥達
七尾城跡地域に生息する鳥たちの紹介
七尾城「益田藤兼の墓」
七尾山中腹の住吉神社の南南西約300mには益田氏第19代当主益田藤兼の墓があります。
藤兼は享禄2年(1529年)に当地で生まれ、11歳で将軍足利義藤から一字を授けられ藤兼と称しました。初陣は15歳の時の第1次月山富田城の戦いでした。そして、翌天文13年(1544年)、祖父益田宗兼の死去に伴い、父尹兼を飛び越して益田氏の家督を承継しました。藤兼は大内義隆の家臣でしたが、天文20年(1551年)、陶晴賢が大内義隆に謀反を起こすと、益田氏と陶氏は姻戚関係であったことから、陶氏に協力し、義隆を自害させています。その後、天文24年(1555年)の厳島の戦いで、毛利元就が陶晴賢を破り、弘治2年(1556年)に元就の二男吉川元春が石見に侵攻すると、藤兼は七尾城を増改築し、三宅御土居から七尾城へ移り住みました。しかし、毛利勢には抗しきれず、弘治3年(1561年)3月、藤兼は降伏しましたが、吉川元春の口利きで助命されたばかりか、本領を安堵されています。その後、毛利勢の一員として尼子氏との戦いに参加し、永禄9年(1566年)の第2次月山富田城の戦いで尼子氏を破っています。そして、分家の三隅氏を滅ぼし、周布氏を従えて、勢力を拡大しました。藤兼は従五位上右衛門佐、越中守、治部大輔、従四位侍従などを歴任し、慶弔元年12月1日(1597年1月18日)に、その生涯を終えました。
平成24年10月1日
七尾城「医光寺総門」
七尾山中腹の住吉神社の北北西約800mには医光寺があります。昭和34年9月1日島根県指定有形文化財である医光寺の総門は、高さ4m、幅4.5mで、元々は七尾城の大手門でした。ところが1600年、益田氏が臣従する毛利氏が属する西軍が、関ヶ原の戦いで敗れ、益田元祥は毛利氏に従って山口県萩市須佐へ移封されたため七尾城が廃城となったので、その大手門を移築したものです。この医光寺総門の説明版には、次のように書かれています。
高麗門(こうらいもん)形式の門で、屋根は切妻造り(きりづまづくり)、本瓦葺(ほんがわらぶき)、中央を高くし、両側を一段低くした構造になっています。
この門は、慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いの後、益田氏20代元祥(もとよし)の長門国須佐(ながとこくすさ)への移住に伴い廃城となった七尾城の大手門(おおてもん)を移築したものと伝えられています。
七尾城の大手(城の正面)は、医光寺から向かいの南側に見える七尾城山の中央の谷あいと考えられています。南北朝時代には当時の大手口「北尾崎木戸」(きたおざききど)で三隅(みすみ)方との合戦があったことが益田家文書に残っています。
17世紀後半に屋根を改めたといわれ、全面の都市計画道路中島染羽線の整備に伴い、平成4年度に本堂から中門の延長線上に若干位置を移動し、解体修理が行われました。
構造、意匠とも簡素ですが、本柱(ほんばしら)、冠木(かんぎ)ともに太く、戦国時代末期の豪壮な城門の姿を残す貴重な建造物です。
平成24年1月13日
七尾城「住吉神社」
七尾山の中腹には、住吉神社があります。住吉神社は、七尾城築城とともに上府から一の丸に移されました。現在の社殿は寛文4年(1664年)に改築されたものだそうです。
「益田七尾山 住吉神社御神徳記」によると、祭神は底筒男命(そこつつのおのみこと)、中筒男命(なかつつのおのみこと)及び表筒男命(うわつつのおのみこと)の住吉三神並びに息長帯姫命(いきながたらひめのみこと)(神功皇后)を加えた住吉大神である。海の神、航海の神であることから、朝鮮や中国との交易があった益田氏が航海の無事を祈って祭ったものと思われます。
益田氏は氏の長者で摂政・関白を務めた藤原忠平(880~949年)の9世の子孫で石見守藤原国兼を祖としています。国兼は永久2年(1114年)に石見に赴任し下向しましたが、永久6年(1118年)に任期が終了しても石見に留まり、土着の豪族となりました。そして、当初は石見上府(浜田御神本)に拠点を構えて御神本氏と名乗っていましたが、4代兼高が建久9年(1192年)に居館を益田に移すとともに、益田氏を名乗るようになりました。住吉神社は、この時に上布から移され、現在に至っています。
平成23年11月30日
七尾城「千畳敷」
太鼓の段(壇)の北側には千畳敷と呼ばれる広い場所があります。千畳敷は西尾根の中で最も高く、かつ広い曲輪です。防御上、重要な曲輪であり、建物もあったと思われます。
平成23年10月28日
七尾城「太鼓の段(壇)」
厩の段の北側には、「太鼓の段(壇)」と呼ばれる場所があります。本丸や厩の段は東尾根にありましたが、太鼓の段は谷を挟んだ西尾根にあります。
平成23年9月16日
七尾城「馬釣井」
厩の段の東側には、「馬釣井」と呼ばれる井戸があります。馬釣井は七尾城内唯一の井戸であり、中世特有の円形の割石積の井戸です。直径1.2m、深さ4.5mの大きさです。七尾城には、馬釣井の他の飲料水源としては、2カ所の貯水濠があるだけであり、馬釣井は極めて重要な水源でした。
平成23年9月2日
七尾城「厩の段」跡
帯曲輪を西へ下ると「厩の段」と呼ばれる平坦部があります。厩の壇は、武士や家臣達が騎馬で登城した際に馬を繋いだ厩のあった場所です。山を削って造られた南北56m、東西15mの広大な厩の敷地は、石見最大の豪族益田氏の勢力の大きさを物語っています。
平成23年6月30日
七尾城「大手の帯曲輪」跡
二の段西側斜面の帯曲輪では、5m×21.7mの長大な礎石建物跡が発見されました。この建物は、遺物の量が少なかったことから、日常的に使用される建物ではなく、倉庫であったと推測されています。また、城の中心部に到達する大手の側面に建っていることから、防御施設としての役割も持っていたと推測されています。益田家文書では「19代藤兼が城内に11名の家臣を置き、大手の曲輪に1年間隠居して天正10年代に三宅御土居の普請が成就したので下城した」との記述があります。藤兼はこの辺りに住んでいたのかも知れません。
平成23年5月16日
七尾城「二の段」跡
七尾城本丸の北側にある「二の段」は本丸より約1m低くなっていますが、七尾城では一番広い場所です。二の段の北側には堀切があります。平成4年度からの発掘調査では、二の段の北端に2棟の建物の礎石列と庭園跡が見つかっています。また、中国や朝鮮からの輸入陶磁器や土師質土器(かわらけ)等、16世紀中頃から後半にかけての遺物が多量に出土しました。これは城内で酒宴が行われたことを物語っています。これにより天文20年(1551年)の陶晴賢の挙兵に関わった19代益田藤兼が、毛利氏の攻撃に備えて大改修して居住し、天正11年(1583年)に子の20代元祥と共に下城し、再び三宅御土居に居を移したという益田家文書等の記述が確認されました。
平成23年4月14日
七尾城本丸跡
七尾城の最高部に位置していた本丸は、標高約120mで、南側は堀切と土塁で守られ、北側には本丸に接して約1m低い「二の段」があり、その北側には堀切があります。この本丸と二の段が七尾城の主郭部です。本丸北側には瓦葺の櫓門があったことが、平成4年からの発掘調査で分かっています。
本丸跡には今は何もありませんが、ここからは城下が一望できます。また、私の母校である島根県立益田高等学校も見下ろすことができます。
平成23年3月1日
七尾城趾
我がふる里、益田市は中世「益田氏」の城下町として発展した町です。その益田氏の居城「七尾城」は、建久4年(1193年)に益田兼高によって築かれた山城です。本丸跡は標高118m、南北約600mの比較的大きな山城です。
陶晴賢と毛利元就との戦いの頃、当時の当主益田藤兼は陶側についていたので、毛利勢の攻撃に備えて弘治2年(1556年)頃、大改修を行いました。その後、益田氏は毛利に降り、その家臣となりました。
慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いで西軍が破れると、毛利氏は防長2国に減封となり、七尾城主だった益田元祥は毛利氏に従って長門須佐(現:山口県萩市須佐)へ移り、七尾城は廃城となりました。現在では、大手門が医光寺総門として残っているだけです。
私は、ほぼ毎月1回、バードウォッチングを兼ねて七尾城趾に登っています。今月からは、この七尾城趾を紹介していきます。
初回の今月は七尾城趾の地形図を掲載します。
平成23年1月24日
【キンクロハジロ】Saxicola torquata (Linnaeus)(脊椎動物門鳥綱カモ目カモ科)冬鳥
月見橋~五福寺橋〔平成24年2月20日撮影〕
月見橋上流で泳いでいたキンクロハジロのカップル。
キンクロハジロは全長約47cm、翼長約20cm、翼開長約70cmで、オスメス共、冠羽がある。繁殖期のオスは、冠羽が長くなり、頭から胸、背が黒く、側面は白くなる。メスは、冠羽が短く、全体に黒褐色か暗褐色で、非繁殖期のオスはメスに似た色になる。オスは嘴の根元に白斑があるが、メスにはあるものと無いものがいる。
ヨーロッパ北部、シベリアなどユーラシア大陸北部で繁殖し、冬はアフリカ大陸北部、ヨーロッパ、中近東、インド、中国東部などで越冬する。日本では北海道で繁殖するが、冬鳥として渡来し、沖縄を除く全国の湖沼、池、川などに棲む。
雑食性で、カエル、魚類(卵を含む)、軟体動物、甲殻類、昆虫や水生植物などを食べる。
5~7月に水辺の草原や浅瀬に井草や葦の枯草などの直径約25cmの巣を作るが、この作業はメスだけが行います。1回に約10個の卵を産みますが、卵を温めるのも、雛を育てるのもメスだけです。キンクロハジロの女性は、とても働き者です。卵は約25日間で孵化し、雛は卵を出てから約4週間で飛べるようになります。生後1~2年で成鳥になります。
平成24年12月27日
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【スズメ】(スズメ目ハタオリドリ科)留鳥
益田川から約170mの距離にある当田事務所を訪問した(迷い込んだ)スズメ。
スズメは小笠原を除く日本中至る所に一年中、住んでいます。このように、一年を通して、繁殖と越冬を同じ場所で行う鳥のことを留鳥といいます。特に珍しくもない鳥ですが、当事務所を訪れた唯一の鳥ということで、まず最初に登場して貰いました。
スズメが見つめているのは、シャガール(Chagall)の作品です。シャガールをわざわざ見に来るとは、なかなか目の高いスズメだと言えます。さすがはトップバッターだと言えるでしょう。
平成21年8月11日
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【カワウ】Phalacrocorax carbo Linnaeus (脊椎動物門鳥綱ペリカン目ウ科ウ属)
大元橋~吉田橋〔平成21年6月20日撮影〕
河口から3番目の大元橋上流の中吉田側川岸のテトラポット上で休むカワウ。
カワウはユーラシア、アフリカ、オーストラリアの各大陸に広く生息する留鳥であり、日本では本州と九州で繁殖している。河川だけでなく、河口付近や浅海息でも見られる。
狩猟鳥ではあるが、肉もまずく、羽毛も利用価値はほとんどないので、カワウを狙うハンターは少ない。古くは愛知県知多郡でカワウの糞を農業用肥料に利用していたが、今では利用されていない。
わずかに中国で鵜飼に利用されてはいるが、日本ではカワウではなくウミウを利用しているので、日本では人間のお役には立たない鳥である。因みに岐阜県長良川で有名な鵜飼は鵜にヒモをつけているが、益田市の高津川で行われているのは離し鵜飼といって、ヒモをつけない日本唯一の鵜飼である。
平成21年12月24日
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【コシアカツバメ】 Hirundo daurica Linnaeus
(脊椎動物門鳥綱スズメ目ツバメ科ツバメ属)夏鳥
益田新大橋~曙橋〔平成21年7月5日撮影〕
河口から5番目の益田新大橋上流の乙吉側にある福祉プラザますだの巣で育ったコシアカツバメの雛。
カワウはユーラシア、アフリカの各大陸に広く生息する。渡り鳥であり、日本では本州中部より西に飛来し、繁殖している。市街地や農耕地等に住んでいる。
崖や民家の軒下、橋桁などに土と枯れ草を唾液で固めて巣を作るが、ツバメの巣はお椀上で上が無いのに対し、コシアカツバメの巣はトンネル状で中を見ることができない。
ちなみに、我が家に毎年やって来て、子育てをするのは、このコシアカツバメではなくツバメです。
平成22年1月12日
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【カワアイサ】Mergus merganser(脊椎動物門鳥綱ガンカモ目ガンカモ科)冬鳥
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山陰本線鉄橋~津村橋〔平成21年7月5日撮影〕
カワアイサはユーラシア(アジア、ヨーロッパ)大陸中北部、北アメリカ大陸北部で繁殖し、冬季はヨーロッパ、中央アジア、インド東部、中国東部、朝鮮半島、北アメリカ中部で越冬する。日本では、九州以北に冬鳥として渡来する。北海道では留鳥として、少数が繁殖している。湖沼、河川に生息し、水に潜って魚を食べる。
冬鳥であって、この益田には夏にはいないはずのカワアイサですが、何故か雄が1羽だけいました。渡りがめんどくさいのか、彼女に振られて北の国での繁殖が望めなくなったのか、理由は分かりませんが、アヒルと一緒に暮らしていました。
平成22年2月26日
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【コゲラ】Dendrocopos kizuki(脊椎動物門鳥綱キツツキ目キツツキ科)留鳥
益田新大橋~曙橋・田原事務所裏〔平成21年9月29日撮影〕
益田川から約170mの距離にある当田原事務所の裏にある畑の柿木で食事中のコゲラ。
コゲラは日本列島、朝鮮半島、中国東北部、ロシア南東部などの東アジアの一部に分布している。日本では全国に広く生息しているが、地域により9種の亜種が存在する。写真はシコクコゲラ(Dendrocopos kizuki shikokuensis Kuroda)で、中国、四国、近畿地方に分布している亜種。
主に昆虫を食べるが、木の実を食べることもある雑食性である。写真のコゲラも、柿木の表面にいる昆虫や、嘴でつついて柿木に穴を開けて長い舌で穴の中にいる昆虫を食べているところでした。
平成22年2月26日
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【アオサギ】Ardea cinerea(脊椎動物門鳥綱クノトリ目サギ科)留鳥
河口~月見橋〔平成21年10月31日撮影〕
河口に一番近い月見橋下流を飛ぶアオサギ。
アオサギはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、イギリス、インドネシア、フィリピン、マダガスカル、日本などに広く分布する。日本では、北海道では夏鳥、九州以南では冬鳥であるが、本州、四国では留鳥であり、益田川流域に生息する写真のアオサギ君は留鳥である。
川、湖、沼、干潟、田圃等、水辺にはどこでも広く生息し、港にまでいる。肉食性で、魚、カエルなどの両生類、昆虫や小型のほ乳類まで食べる。繁殖期にはコサギやチュウサギなどと共に、木の上に集団で巣を造り(コロニー)、産卵、子育てをする。
平成22年5月8日
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【セグロセキレイ】Motacilla grandis(脊椎動物門鳥綱スズメ目セキレイ科)留鳥
深折川・葛根橋~湧銅橋〔平成22年2月21日撮影〕
益田川の支流である深折川沿いの民家の塀で休むセグロセキレイ(益田市美都町山本)。
セグロセキレイは、北は北海道から南は九州まで広く分布していますが、日本以外ではロシア沿海地方、朝鮮半島、台湾、中国北部などでまれに見られる程度で、ほぼ日本だけに住むと言って良いでしょう。
水辺に住み、雑食性である。一年中、自分の縄張りの中で暮らす。セキレイの仲間には、ハクセキレイやキセキレイなどがいるが、縄張り意識の強いセグロセキレイは、これらをも追い払う、強い種である。
平成22年6月1日
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【ハマシギ】Calidris alpina(脊椎動物門鳥綱チドリ目シギ科)旅鳥
河口~月見橋〔平成21年10月30日撮影〕
益田川の河口近く(益田市久城町)で見つけたハマシギ(冬羽)。
ハマシギは、北アメリカ及びユーラシア大陸の北極海沿岸のツンドラ地帯で繁殖し、冬は北アメリカ、アフリカ西海岸、中東、地中海沿岸、中国南部で越冬する。日本では旅鳥もしくは冬鳥として、全国各地に渡来する。
干潟、砂浜、河口、水田等に棲み、貝類、甲殻類、ゴカイ、昆虫などを食べる肉食性の鳥である。卵を暖めるのは雄雌交替だが、雛の世話は雄だけがするという、変わった習性を持っているそうです。
平成22年7月21日
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【オオバン】Fulica atra(脊椎動物門鳥綱ツル目クイナ科)留鳥
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【オオバン】Fulica atra(脊椎動物門鳥綱ツル目クイナ科)留鳥
五福寺橋~大元橋〔平成21年10月18日撮影〕
益田川の河口から2番目の橋である五福寺橋上流で見つけたオオバン。
オオバンはアフリカ大陸北部、ユーラシア大陸及び周辺の島(アイスランド、イギリス、スリランカ、フィリピン、日本等)に棲んでいる。ヨーロッパ、シベリア、朝鮮半島などで繁殖し、東南アジア、アラビア半島、サハラ砂漠などで越冬する。日本では九州以北で繁殖し、本州以南で越冬する。つまり北海道では夏鳥、九州では冬鳥である。
湖沼、湿原、水田等の水辺で暮らす。主に水性植物を食べるが、魚、鳥の卵や雛、昆虫、軟体動物なども食べる。水辺に巣を作り、1年に2回、産卵する。
平成22年8月27日
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【ホシハジロ】Aythya ferina(脊椎動物門鳥綱ガンカモ目ガンカモ科)冬鳥
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月見橋~五福寺橋〔平成21年10月18日撮影〕
益田川の河口から最初の橋である月見橋上流で見つけたホシハジロ。
ホシハジロはヨーロッパからアジアにかけてユーラシア大陸に広く分布する渡り鳥である。日本では北は北海道から南は九州まで、よく見られる冬鳥である。北海道東部では一部繁殖している。
水の深い湿地や湖で繁殖し、越冬地では、湖沼、池、河川、河口、内湾などに棲み、よく群れている。主に植物の葉、茎、根、種を食べるが、水性昆虫、小魚、軟体動物、甲殻類、両生類など、なんでも食べる。5~7月に湿地の足の茂みなどに巣を作り、卵を産む。成鳥になるまで1~2年かかる。
平成22年9月25日
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【ウミネコ】Larus crassirostris(脊椎動物門鳥綱チドリ目カモメ科)留鳥
益田新大橋~曙橋〔平成22年1月4日撮影〕
益田川の国道9号線が通る益田新大橋上流で泳いでいたウミネコ。
ウミネコは日本の他、ロシア南東部朝鮮半島、中国東部、台湾などに一年中棲んでいる。日本でも一年中棲んでいる留鳥であるが、北海道や本州北部のウミネコ達は南に移動する。
沿岸部や河口、干潟などに棲み、魚類、両生類、昆虫、動物の死骸などを食べる。沿岸部の岩礁や草原などに、木の枝、枯草、海草などに集団で皿状の巣を作り、4~5月に卵を産む。島根県出雲市大社町の経島や青森県八戸市の撫島などが集団繁殖地(コロニー)として国の天然記念物に指定されており、有名である。
平成22年11月22日
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【オカヨシガモ】Anas strepera(脊椎動物門鳥綱ガンカモ目ガンカモ科)冬鳥
益田新大橋~曙橋〔平成21年12月13日撮影〕
益田川の国道9号線が通る益田新大橋上流で見つけたオカヨシガモ。
オカヨシガモはヨーロッパ北部、アジア及び北アメリカ中央部で繁殖し、冬はアフリカ北部、中近東、インド、中国南部、北アメリカ南部から中央アメリカに渡る。日本では、北海道東部や本州の一部で多少繁殖しているが、全国的に見られる冬鳥である。
湿地や沼地などに住み、巣は陸地に作る。越冬中に結婚し、北帰行はハネムーンとなり、北の地で産卵子育てをする。卵を暖め、雛を育てるのは母親だけである。頭を水に突っ込み、植物を食べる。
平成22年11月12日
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【カワガラス】Cinclus pallasii(脊椎動物門鳥綱スズメ目カワガラス科)留鳥
山料大橋上流〔平成22年1月31日撮影〕
国道191号線から逸れ、旧美都町役場へ向かう途中の美都町山本にある山料大橋上流で見かけたカワガラス。
カワガラスはヒマラヤ北部からインドシナ北部、中国、台湾、サハリン、カムチャッカ半島に分布し、日本では屋久島以北に生息する。
平地から亜高山帯の川の中流から上流の岩の多い沢に棲む。水に潜って、水生昆虫、甲殻類や小魚を捕食する肉食性である。水底を歩き回って川底の餌を採ったりする。水中では羽毛の間に空気が含まれている。
一年中、単独もしくは夫婦で行動し、滝の浦の岩の隙間に苔で巣を作り、2~6月に卵を産む。卵は雌が暖める。雛は3週間ほどで巣立つが、飛べない内から水中を泳いだり歩いたりする。
平成22年12月25日
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【トビ】Milvus migrans(脊椎動物門鳥綱ワシタカ目ワシタカ科)留鳥
【トビ】Milvus migrans(脊椎動物門鳥綱ワシタカ目ワシタカ科)留鳥
益田新大橋上流〔平成22年1月4日撮影〕
国道9号線の益田新大橋上流を飛ぶトビ。
トビは、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリアと広く分布している。
トビは、上昇気流を利用してクルリと輪を描いて滑空し、できるだけ羽ばたかない省エネ飛行をします。そして、上空から餌を見つけると急降下して捕らえます。餌は動物の死骸、カエル、トカゲ、ヘビ、魚などの小動物が主な肉食性ですが、生ゴミなども食べます。
普通は樹の上に巣を造りますが、断崖の地上に造ることもあります。
よくカラスに追いかけられているのを見かけますが、カラスとは食べ物が似ていることから、カラスに嫌われており、頭の良いカラスが集団でトビをいじめている光景です。
平成23年1月14日
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【マガモ】Anas platyrhynchos(脊椎動物門鳥綱ガンカモ目ガンカモ科)冬鳥
雪舟橋下流〔平成22年2月20日撮影〕
雪舟橋下流を泳ぐマガモ
マガモは、北半球の温帯から冷帯にかけて広く分布し、北方で繁殖するものは冬には南方に渡る。日本では北海道から南西諸島まで広く冬鳥として渡来する。
マガモは越冬中の10月末から12月につがいとなり、春に連れ立って繁殖地へ渡る。主に草食性で、水草の葉や茎、植物の種等を食べるが、貝などの食べる雑食性である。水には潜らず、水中に首を突っ込んだり、逆立ちして餌をとる。4月から8月に、水辺の草地に巣を作り、産卵する。卵を暖め、雛を育てるのは雌だけで行う。
平成23年2月21日
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【カルガモ】Anas poecilorhyncha(脊椎動物門鳥綱ガンカモ目ガンカモ科)留鳥
益田新大橋下流〔平成21年9月26日撮影〕
国道9号線の益田新大橋下流のテトラポットで休むカルガモ
カルガモは、日本の他、朝鮮半島、中国、ロシア東部に分布し、日本では本州以南に1年中生息する。
河川や湖沼に生息するが、冬場は海上にもいる。主に草食性で種子や水生植物を食べるが、昆虫なども食べる。餌は水面でも採る。
交尾から営巣地の探索頃まではつがいで行動するが、その後は離婚し、卵を暖め、雛を育てるのはメスだけである。雛は生まれて2カ月程で飛べるようになる。
平成23年3月8日
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【カンムリカイツブリ】Podiceps cristatus Linnaeus(脊椎動物門鳥綱カイツブリ目カイツブリ科)冬鳥
曙橋上流〔平成21年9月26日撮影〕
乙吉町とあけぼの本町を結ぶ曙橋上流を泳ぐカンムリカイツブリ。
カンムリカイツブリは、日本の他、ユーラシア大陸、アフリカ大陸の一部、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド(南島)などに分布している。日本では九州以北に渡来する冬鳥だが、青森県や滋賀県の琵琶湖では繁殖している。
流れの緩やかな河川、湖沼、湿原に生息し、冬期には河口や沿岸部にもいる。主に魚類を食べる。水辺近くの水性植物などに水生植物の葉や茎で逆円錐状の巣を作り、3~8月に1回3~5個の卵を1~2回産む。雌雄交替で卵を27~29日間暖め、雛は70~90日で飛べるようになる。成鳥になるまで2年かかる。
平成23年4月16日
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【イソヒヨドリ】Monticola solitarius Linnaeus(脊椎動物門鳥綱スズメ目ツグミ科)留鳥
大橋~新橋〔平成22年11月3日撮影〕
雪舟庭園のある益田市東町の万福寺近くの新橋下流で見かけたイソヒヨドリの雄。
イソヒヨドリはアフリカ、ユーラシア大陸、インドネシア、ニューギニアと広く分布している。世界的には標高2~4,000mの高山の岩石地帯に生息するが、日本では主として磯・港等の海岸部に生息する。河川に近い内陸部や都市部にも生息する。
地上で甲殻類、昆虫類、トカゲなどの小動物を捕食する。岩の隙間などに営巣し、5月初旬に5~6個を産卵する。雛は2週間程で巣立つが、その間、雄雌交替で餌を運ぶ。
平成23年5月13日
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【イソシギ】Acititis hypoleucos Linnaeus(脊椎動物門鳥綱チドリ目シギ科)留鳥
新橋~堀川橋〔平成22年1月3日撮影〕
イソシギは、夏期にユーラシア大陸の温帯・亜寒帯で繁殖し、冬期にはアフリカ大陸、オーストラリア大陸、ユーラシア大陸南部へ渡り越冬する。日本では、九州以北に生息するが、西日本では1年中生息する留鳥であるが、本州中部以北のものは冬期には南下する夏鳥である。
河川や湖沼の周辺に生息し、繁殖期以外には干潟や海岸の岩場にも生息する。主として昆虫を食べるが、甲殻類や軟体動物も食べる。餌を摂る時は、水辺を歩き回ったり、泳いだりしている。繁殖期には、縄張りを作り、水辺の草原の植物の根元などに浅い窪みを掘り、枯草を敷いて巣を造る。1回に3~5個の卵を産み、21~23日で孵化し、26~28日で飛べるようになる。卵を暖めるのは、雌は必ず行うが、雄は育児に協力しないものもいる。
平成23年6月24日
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【カワセミ】Alcedo atthis Linnaeus(脊椎動物門鳥綱ブッポウソウ目カワセミ科)留鳥
新橋~堀川橋〔平成22年11月3日撮影〕
益田市歴史民俗資料館の対岸で見かけたカワセミ。
カワセミは、ヨーロッパ、インド、東南アジアにかけて分布している。日本では1年中見られる留鳥だが、北海道では夏鳥である。
海岸や川、湖、池などの水辺に生息する。水辺の石や枝の上から水中に飛び込んで、魚類や水生昆虫を嘴で捕らえる。時には、空中でホバリングで静止しながら水中へ飛び込むこともある。餌を捕らえると、再び石や枝に戻って獲物をくわえなおし、頭から飲み込む。大きな獲物は石や枝に数回叩き付けて殺してから飲み込む。消化できなかった骨などは口から吐き出す(ペリット)。特定の石や枝に止まることが多く、周りが糞で白くなったりする。
繁殖期にはオスがメスに獲物をプレゼントして、ペアになる(求愛給餌)。ペアになると、土手に50~90cm程の横穴を掘り、巣を造る。穴の奥は広くなっており、3~4個の卵を産む。繁殖期でない時は、それぞれのテリトリーで1羽で行動する。
平成23年7月15日
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【アトリ】Fringilla montifringilla Linnaeus(脊椎動物門鳥綱スズメ目アトリ科)冬鳥
大橋~新橋〔平成22年11月3日撮影〕
益田市歴史民俗資料館の近くの電線で休んでいたアトリ。
アトリは、ユーラシア大陸北部の亜寒帯で繁殖し、冬期は、北アフリカ、ヨーロッパから、中央アジア、中国、朝鮮半島へ南下し越冬する渡り鳥である。日本には冬鳥として、秋、シベリア方面から主として日本海を越え山形県、富山県等に飛来し、それから全国各地へ分散して行く。
山麓の森林や農耕地に生息し、昼間は小規模な群れでいるが、夜は集団で眠る。渡りの頃には、数千羽から数万羽の大群になる。
果実、植物の種子、昆虫、節足動物などを食べる雑食性である。
平成23年8月11日
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【カワラヒワ】Carduelis sinica Linnaeus(脊椎動物門鳥綱スズメ目アトリ科)留鳥
堀川橋~矢坂橋〔平成22年12月5日撮影〕
私の誕生日である12月5日に大谷町の大畑建設㈱の敷地内の木に止まっていたカワラヒワ。
カワラヒワは日本から朝鮮半島、ロシア南東部、中国、モンゴルにかけて東アジアに分布している。日本では、ほぼ全域に留鳥として分布しているが、北部に棲むものは冬季には暖地へ移動する。
平地から低い山の山林に生息するが、市街地の公園や河原でも見られる。繁殖期には針葉樹林などにペアのテリトリーを持って、枝の茂みに枯れ枝や細根などで椀状の巣を作り、1回に約5個の卵を産む。12日ほどで卵が孵り、2週間ほどで巣立つ。秋からは数十羽から数百羽の群れをつくる。主として植物の種などを食べる。
平成23年9月16日
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【カイツブリ】Tachybaptus ruficollis poggei(Pallas)(脊椎動物門鳥綱カイツブリ目カイツブリ科)留鳥
堀川橋~矢坂橋〔平成22年12月5日撮影〕
私の誕生日である12月5日、堀川橋と矢坂橋の間の川面で泳いでいたカイツブリ(冬羽)。 カイツブリはアフリカ大陸及びユーラシア大陸の南半分、イギリス、インドネシア、ソロモン諸島、日本、パプアニューギニア、フィリピン、マダガスカルにかけて分布している。北方に住むものが冬期に生息場所が凍結するため南に移動するが、多くは留鳥である。日本では、本州中部以南では留鳥であるが、本州北部や北海道では冬期に南に移動する夏鳥である。 全長25~29cmで翼を拡げると40~45cmになり、体重は100~200gである。夏羽は、頭部から頸部が黒、頬から側頬が赤褐色になる。冬羽は頭部から胴体にかけて褐色、頬から側頬が黄褐色になる。 流れの緩やかな河川、湖沼、湿原等で生息するが、渡りの時には海上にいることもある。魚類、昆虫、甲殻類、貝類などを食べる動物食で、潜水して獲物を捕食する。4~12月の間に1~3回、1回に4~6個の卵を産む。巣は逆円錐状で、水辺近くの水生植物や杭などに水生植物の葉や茎を組み合わせて作る。雌雄交替で抱卵し、3週間ほどで孵化する。
平成23年10月27日
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【ハクセキレイ】Motacilla alba lugens(Gloger)(脊椎動物門鳥綱スズメ目レキレイ科)留鳥
新橋~堀川橋〔平成22年12月5日撮影〕
私の誕生日である12月5日、新橋と堀川橋の間の川岸で見かけたハクセキレイ(冬羽)。
ハクセキレイは、日本列島の他、中国東北部、千島列島、カラフト、カムチャッカ半島、ロシア沿海地方・ハバロフスク地方の沿岸部に分布する。留鳥または漂鳥(一地方内で越冬地と繁殖地とを異にして、小規模な渡りをする鳥類。)である。日本では、北海道及び本州に生息する。
体長約21cmで、セグロセキレイに類似しているが、顔が白い点で区別できる。また、冬には背中が白くなる。セグロセキレイ同様、尾羽を上下に振る。足を交互に出して歩き、飛ぶ時は「チュチュン、チュチュン」と澄んだ声で鳴く。セグロセキレイは、「ヂヂッ、ヂヂッ」と濁った声で鳴くので区別できる。
主に水辺に棲む。自分のテリトリーに1羽で暮らすが、繁殖期にはペアで暮らす。縄張りに他のハクセキレイや他の種類のセキレイが進入すると、追いかけ回して縄張り争いをする。雑食性で、地面や水辺を歩きながら、水中、岩陰、土中などにいる昆虫、蜘蛛、ミミズなどを食べる。寒冷地では年1回、暖地では年2回繁殖する。5~7月に約5個の卵を産み、約2週間で孵化する。卵を暖めるのは主に雌で、孵化後約2週間で巣立ちする。
平成23年11月24日
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【クロサギ】Egretta sacra(Gmelin)(脊椎動物門鳥綱コウノトリ目サギ科)留鳥
河口~月見橋〔平成22年12月18日撮影〕
益田川の河口近くの久城町側の川岸を歩く黒色型のクロサギ。
クロサギは全長約63cmの中型のサギで、全身を覆う羽毛がすすけた黒の黒色型と白の白色型がいる。黒色型は九州以北に分布しており、九州の南方から台湾の東方にかけて点在する南西諸島では白色型の割合が増える。中には黒い羽と白い羽の両方を持つ中間型も存在する。雌雄同色である。黒色型は黒い岩場に、白色型は白い砂浜や珊瑚礁に適応した保護色だと考えられる。
主として海辺の岩場や珊瑚礁に棲んでいるが、この写真のクロサギのように河口や干潟にいることもある。他のサギのようにコロニー(鷺山)は作らず、単独または番で生活する。海辺の樹木や岩の上に巣を作り、1回に2~5個の卵を産み、4週間弱、雌雄交代で卵を暖め、雛も共同で育てる。雛は5週間強で巣立つ。ゴイサギのような夜行性ではなく、昼行性である。海上を低く飛び獲物を探す。肉食性で魚類、甲殻類、貝類などを食べる。 クロサギは南からオーストラリア、ニュージーランド、ミクロネシア、東南アジア、東アジアにかけて分布している。日本では、概ね男鹿半島から房総半島を結ぶ線よりも西側で繁殖している。本州の中部以南では留鳥であるが、それより北では夏鳥である。
平成23年12月20日
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【ミサゴ】Pandion haliaetus(Linnaeus)(脊椎動物門鳥綱ワシタカ目ワシタカ科)留鳥
河口~月見橋〔平成22年12月18日撮影〕
ミサゴは全長約60cm、翼長約165cm、体重約1.6kgの鷹である。背中と翼の上面及び眼から首への帯が黒褐色で、他は白い。
主として海岸に棲むが、湖沼、広い河川、河口等にも棲む。水面をゆっくり低空飛行して獲物の魚を探す。獲物を見つけるとホバリング(素早く翼を羽ばたかせてする静止飛行)し、水面まで急降下して両足で魚を捕らえる。魚の他にも、爬虫類、鳥類、貝類などを食べる。
6月頃、水辺の岩や樹上に木の枝で巣を作り、卵を2~3個産む。約5週間の抱卵は雌が行い、雄は餌を運ぶ。孵化した雛は7~8週間で巣立ちするが、その後1~2カ月は親鳥と共に過ごす。約3年で成鳥となる。
平成24年1月10日
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【ツグミ】Turdus maumanni Temminck(脊椎動物門鳥綱スズメ目ツグミ科)冬鳥
河口~月見橋〔平成22年12月18日撮影〕
益田川の河口近くで見かけたツグミ。
ツグミは夏はシベリア中・北部で繁殖し、冬に中国南部などへ南下して越冬する日本にも越冬のため飛来する。全長約25cm、翼長約40cm。
平地から山地の森林、草原、農耕地等に生息する。昆虫、果実などを食べる雑食性である。田畑や川原など、開けた場所の地面で餌を採る。
平成24年2月29日
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【キセキレイ】Motacilla cinerea Tunstall(脊椎動物門鳥綱スズメ目セキレイ科)留鳥
野坂橋~新田倉橋〔平成23年4月17日撮影〕
野坂橋上流で見かけたキセキレイ。
キセキレイはユーラシア大陸及びアフリカ大陸中部以南に分布している。日本では九州以北に分布する留鳥または漂鳥(暑さ、寒さを避けるため、夏は山地、冬は平地、と言うように繁殖地と越冬地を区別している鳥)である。全長約20cm、頭から肩、背にかけては灰色、上腹部が白色、下腹部が黄色である。他のセキレイと同様、よく尾羽を上下に振る。「チチン、チチン」と鳴く。
他のセキレイと異なり、夏は渓流に棲むが、冬は市街地の水辺でも見られる。積雪地帯のものは漂鳥である。冬は単独で、夏はペアでテリトリーを持ち、他のセキレイが入ると追いかけ回して縄張り争いをする。
昼間は水辺を歩きながら水中や岩陰の昆虫類や蜘蛛類を食べる。飛んでいる昆虫を捕らえることもある。夜は近くの森で眠る。崖の窪み、枝の茂み、家の軒下などに枯草や草の根で皿状の巣を造り、1回に4~5個の卵を産む。12~14日で卵が孵るが、ほとんど雌が卵を暖める。雛は11~13日で巣立ちする。
平成24年4月11日
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【モズ】Lanius bucephalus Temminck & Schlegel(脊椎動物門鳥綱スズメ目モズ科)留鳥
野坂橋~新田倉橋〔平成23年5月3日撮影〕
野坂橋上流で見かけたモズ。
全長約20cm、嘴から後頭部へかけて黒い過眼線があり、雄は背が青灰色、雌が褐色である。
モズは日本を始めとして朝鮮半島、中国、ロシア南東部及び樺太に分布している。日本では九州以北に分布する。基本的には一年中、同じ場所に生息する留鳥であるが、北部に分布するものは秋期に南下したり、山地に生息するものは低地に移動したりして越冬する。
開けた森林や林、農地などに棲み、昆虫、節足動物、甲殻類、両生類、小型爬虫類、小型鳥類、小型哺乳類などを食べる動物食である。樹上から地表の獲物を探して襲いかかり、再び樹上へ戻り、獲物を食べる。捕らえた獲物を木の枝などに刺したりする行動をとり、「モズの早贄(はやにえ)」と呼ばれている。
2~8月に樹上や茂みの中に木の枝を組み合わせた皿状の巣を雌雄で造り、4~5個の卵を産む。雌だけが卵を暖め、14~16日で孵化し、その後約2週間で巣立ちする。
平成24年5月23日
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【チュウダイサギ】Ardea alba modesta Gray(脊椎動物門鳥綱コウノトリ目サギ科)夏鳥
堀川橋~八坂橋〔平成23年5月4日撮影〕
堀川橋上流の七尾山の鷺山で営巣するチュウダイサギ。
体長約90cm、全身が白の所謂白鷺で、脚、首、嘴が長い。脚は黒、嘴は夏は黒、冬は黄色になる。夏には胸や背中に長い飾り羽が現れる。チュウサギが似ているが、チュウサギは体長68cmと小さく、嘴も短い。
世界中の熱帯から温帯にかけて分布し、日本のような温帯に棲むものは冬になると温かい地方へ移動する。しかし、チュウダイサギと同じダイサギの亜種であるオオダイサギ(Ardea alba alba Linnacus)の内、中国北東部で繁殖しているものが冬鳥として日本で越冬するので、ダイサギという種としては、一年中観察される。
水田や河川、湖沼で魚、両生類、ザリガニ、昆虫などを食べる。サギ科に属する鳥が寄り集まり、鷺山と呼ばれる集団繁殖地で繁殖する。
平成24年6月21日
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【ゴイサギ】Nycticorax nycticorax Linnaeus(脊椎動物門鳥綱コウノトリ目サギ科)留鳥
堀川橋~八坂橋〔平成23年5月4日撮影〕
堀川橋上流の七尾山の鷺山で営巣するゴイサギ。
体長約62cm、翼長約109cm、体重約600gで、上面は青みがかった暗灰色、下面は白色の羽毛で被われており、翼は灰色である。繁殖期には後頭部に白い冠羽が3本伸びる。幼鳥は上面が褐色の羽毛で被われ、黄褐色の斑点が入る。
南北アメリカ大陸、アフリカ大陸、ユーラシア大陸、インドネシア、フィリピン、マダガスカル、日本に分布し、日本では北海道では夏鳥であるが、本州以南では留鳥である。
河川、湖、池沼、湿原、水田、海岸などに単独若しくは小規模な群れで生息する。夜行性で、昼間は樹上で集団で休む。両生類、魚類、昆虫、蜘蛛、甲殻類などの動物を、水辺を徘徊しながら捕食する。サギ科の他種とともにコロニーを作り、4~8月に3~6個の卵を1~2回産む。雌雄交代で3週間程抱卵し、雛は孵化後3週間強で巣を離れ、6~7週間で飛べるようになり、1~2年で成鳥になる。
平成24年7月18日
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【トラツグミ】Zoothera dauma Latham(脊椎動物門鳥綱スズメ目ツグミ科)留鳥
堀川橋~八坂橋〔平成23年3月26日撮影〕
堀川橋上流の七尾山で見かけたトラツグミ。
体調約30cmで、体の下面が白っぽいのを除き、頭部から腰、翼などは黄褐色で黒い鱗状の斑が密にあり、虎柄である。囀りはヒィー、ヒィーとかひょー、ひょーと聞こえるが、地鳴きはガッと聞こえる。
繁殖地は、極東の内、シベリア南東部から中国東北部、朝鮮半島などである。冬季は、インドシナ半島、インド東部、フィリピンなどへ渡る。オーストラリア、ニュージーランドなどオセアニアにも分布する。日本には留鳥または漂鳥(暑さ、寒さを避けるため、夏は山地、冬は平地、というように繁殖地と越冬地が渡り鳥に比べて比較的近距離の鳥)で、周年生息している。本州から四国、九州の亜高山帯から低山帯で繁殖する。北海道では夏鳥である。
雑食性で、雑木林などの地面を歩き、落ち葉をかき分けて、土の中のミミズや昆虫などを食べるが、冬には木の実も食べる。木の枝に枯れ枝や苔でお椀状の巣を作り、4~7月に3~5個の卵を産む。
平成24年8月29日
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【キジバト】Streptopelia orientalis (Latham)(脊椎動物門鳥綱ハト目ハト科)留鳥
堀川橋~八坂橋〔平成23年7月24日撮影〕
堀川橋上流の七尾山山麓で見かけたキジバト。
全長約33cm、体は茶褐色から紫灰色で、翼には黒と赤褐色の鱗状の模様がある。首の横側には青と白の横縞模様がある。キジバトの雄はクークグググーと囀るが、この声は身近な鳥の中で最も低い声である。
ユーラシア大陸東部に分布する。日本では留鳥であるが、北海道や本州北部のものは冬に南下して越冬する夏鳥である。山地から平地の明るい林に住むが、都市部にも住んでいる。
主に果実や種子を食べるが、雑食性で昆虫類、貝類、ミミズなども食べる。樹上に小枝等で皿状の巣を作り、1年中、1回に2個の卵を産む。2週間強、卵を暖めるが、昼は雄、夜は雌と交替する。
平成24年9月12日
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【ツバメ】Hirundo rustica Linnaeus(脊椎動物門鳥綱スズメ目ツバメ科)夏鳥
堀川橋~八坂橋〔平成23年7月24日撮影〕
堀川橋上流の七尾山山麓の電線で休むツバメ。
ツバメは全長約17cm、翼を拡げると約32cmで、背と翼は藍黒、腹は白、喉と額は赤で、胸に黒い横帯がある。尾は長く切れ込みの深い二股形のいわゆる燕尾形である。翼が大きく飛ぶのには適しているが、歩くのは苦手である。繁殖期のオスは「チュビチュビチュビチュルルルルヂー」と最後は濁った声で囀る。飛んでいる昆虫を空中で捕らえて食べ、水面を飛行しながら水を飲む。
北半球の広い範囲で繁殖し、日本では沖縄以外では夏鳥として繁殖し、マレー半島、ジャワ島、ボルネオ島北部、フィリピン、台湾等へ渡り越冬する。沖縄では渡りの途中に通過するだけの旅鳥である。森昌子の歌に「越冬つばめ」というのがありましたが、中部日本から西日本にかけて一部越冬しているツバメがいますが、日本で生まれた渡りをしない怠け者なのか、シベリアなどの北方で生まれたものなおかは明らかではありません。
4~7月に泥と枯草を唾液で固めて作った皿状の巣に3~7個の卵を産み、主にメスが暖める。13~17日で卵が孵り、20~24日で巣立つ。しかし、カラスに巣を襲われて雛を食べられることもあります。我が家のツバメも毎年、カラスに襲われています。そのため、カラス除けの網などを設置しようかと準備中です。
平成24年10月30日
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【ノビタキ】Saxicola torquata (Linnaeus)(脊椎動物門鳥綱スズメ目ヒタキ科)夏鳥
逢瀬橋~益田川ダム〔平成23年10月10日撮影〕
渡りの途中で逢瀬橋上流で休んでいたノビタキのメス。
ノビタキは全長約13cm、オスの夏羽は頭、喉、背中、翼、尾、腰が黒、頸の両側面、腹が白、胸が橙色で、翼に白斑がある。メスの夏羽は、上面が黄褐色、下面が淡橙黄色、腹部が白、腰が淡橙色で、翼に小さい白斑がある。冬羽はオス・メス共、全身橙黄色がかり、オスの頭部と喉は黒褐色である。
インドや東南アジアでは一年中見られるが、ユーラシア大陸中・西部で繁殖するものは、冬は南へ渡る。日本では、本州中部以北に夏鳥として渡来し、繁殖する。本州中部以南では春秋の渡りの時期に見られる。沖縄県の八重山諸島では越冬するものもいる。
本州では高原に生息しているが、北海道では平地の草原に棲む。渡りの時には草原、川原水田などに出現する。囀りは「チー、ピーチョチー」、「ヒーチュ、ヒチー」、 地泣きは「ジャッ、ジャッ」、「ヒッ」である。灌木や草の穂先に留まりながら移動を繰り返し、昆虫などを主に食べる。
平成24年11月21日
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【ヒドリガモ】 (Anas penelope Linnaeus)(脊椎動物門鳥綱カモ目カモ科)冬鳥
月見橋~五福寺橋〔平成24年2月23日撮影〕
月見橋上流で泳いでいたヒドリガモのカップル。
キンクロハジロは全長約49cmで、オスの頭は茶褐色で額は黄白色、メスは全体に赤褐色である。ピューンと鳴く。
ユーラシア大陸北部の寒帯地域、アイスランドなどで繁殖し、冬期には朝鮮半島、中国南部、インド北部、アフリカ北部、ヨーロッパなどで越冬する。日本には冬鳥として全国の湖沼、川、港湾などに渡来するが、北海道では厳寒期に少なく、春と秋に多くなる。
草食性で、水面に浮かぶ葉、茎、根、種などを食べるが、岸や中州の陸上の植物も食べる。更に海岸付近で、海草、海藻などを食べる。
水辺の草地などに巣を作り、1回に7~10個の卵を産み、23~25日で孵化する。
平成25年4月18日
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【ジョウビタキ】Phoenicurus auroreus (Pallas)(脊椎動物門鳥綱スズメ目ヒタキ科)冬鳥
下都茂橋①~下都茂橋②〔平成24年11月3日撮影〕
二つの下都茂橋の間の電線で休むジョウビタキのオス。
ジョウビタキは全長約14.5cmで、オスの赤褐色の下面と翼の白い斑紋、メスの赤っぽい尾と翼の白い斑紋が目立つ。
夏期は、チベットから中国東北部、沿海州、バイカル湖周辺で繁殖し、冬期はインドシナ半島北部、中国南部、日本などで越冬する。平地から山地の耕地、低木林、明るい林などに棲む。
昆虫類やクモ類などを捕食するが、冬には木の実も食べる。木の洞や崖の窪みに枯れ葉や苔で皿状の巣を作り、約6個の卵を産む。抱卵は主にメスが行う。
平成25年5月20日
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【オオヨシキリ】 Acrocephalus arundinaceus (Temminck & Schlegel)(脊椎動物門鳥綱スズメ目ヨシキリ科)夏鳥
昭和橋~大橋〔2009年5月24日撮影〕
明誠高校グランド近くの電柱で囀るオオヨシキリ。
オオヨシキリは全長約18.5cmで、オスメス共、背面は緑褐色、腹面は淡褐色で、眼の上に白い眉斑がある。眉斑の下には嘴の基部から眼を通り後頭部へ伸びる黒い過眼線がある。
夏はユーラシア大陸中部、アフリカ大陸北部で繁殖し、冬はユーラシア大陸南部、アフリカ大陸中部以南等で越冬する。日本では九州以北の低地から山地の芦原に夏鳥として渡来する。
ヨシ原に棲み、昆虫類、節足動物などを食べる。繁殖期にはオスは縄張りを作り、1羽のオスに対し複数のメスによるハーレムを作ることもある。ヨシの茎や葉で椀状の巣を作り、5~6月に約5個の卵を産む。ハーレムなので、メスだけが卵を温め、約2週間で孵化し、約12日で巣立つ。カッコウが托卵することもある。
平成25年6月18日
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【シジュウカラ】 Parus minor (Temminck & Schlegel)(脊椎動物門鳥綱スズメ目シジュウカラ科)留鳥
下都茂橋Ⅱ~境下橋〔2012年12月29日撮影〕
下都茂橋Ⅱ近くの川岸の木に止まるシジュウカラ。
シジュウカラは全長約14.5cmで、頭は黒、頬は白、喉から尾羽の根元にかけて腹に黒いネクタイのような線が走り、翼には1本の白い線がある。黒いネクタイはオスは幅が広く、メスは狭い。ツツピー、ツツピーと囀る。
日本を含む東アジア、ロシア極東に分布し、日本では留鳥として1年中見られる。全国の平地から山地の林に棲み、市街地でも見られる。
雑食性で、果実、種子、昆虫、クモなどを、地表でも樹上でも食べる。木の洞やキツツキなどが空けた穴の内側に、苔などで椀状の巣を作り、毛糸や獣の毛などを敷くが、この作業はメスが行う。4~7月に7~10個の卵を産み、メスが12~14日間温めて孵化した雛は16~19日で巣立つ。1年に2度、卵を産むこともある。
平成25年7月29日
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【マルガモ】(脊椎動物門鳥綱カモ目カモ科)留鳥
益田新大橋~曙橋〔2012年11月24日撮影〕
益田新大橋の少し上流でカルガモの群れに交じっていたマルガモの雄。
マルガモというのは、マガモとカルガモの交雑種です。マガモのマとカルガモのルをとって、マルガモと呼ばれています。
マルガモのような交雑種には繁殖能力がないとされていますが、ヒナを連れたマルガモの雌や、マルガモの雄とカルガモの雌との間にヒナが誕生したとの報告もあります。
平成25年11月20日
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【ヒヨドリ】(脊椎動物門鳥綱スズメ目ヒヨドリ科)留鳥
三宅町・大橋付近〔2009年5月24日撮影〕
三宅町の大橋付近の木で休むヒヨドリ。
ヒヨドリは全長約27.5cm、翼開長約40cmで、全身が灰色だが、頬は褐色である。「ヒーヨ、ヒーヨ」と甲高く鳴くため、ヒヨドリと名付けられたとも言われている。
日本の他、フィリピンのルソン島、中国南部、台湾、朝鮮半島南部、サハリンに分布する。日本では全国の平地から低山の林で繁殖し、冬は低地や暖地へ移る。市街地の庭や公園でも多く見られる。
果実や花の蜜を食べるが、繁殖期には昆虫類も食べる。5~9月に木の枝の上に外形12~20cmの椀状の巣を小枝、枯れつる、イネ科の茎、細根などで造り、中に松葉、シュロの繊維、笹の葉などを敷く。2~3cmの卵を1回に3~5個産み、主に雌が暖めて12~14日で孵化する。雛を育てる時は雄も餌を運び、10~11日で巣立つが、1~2月は親鳥と共に行動する。
平成26年10月16日
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七尾城趾の鳥達
No
目
科
種
学名
1
スズメ
カラス
ハシブトガラス
Corvus macrorhynchos japonensis Bonaparte
2
ハシボソガラス
Corvus corone orientalis Eversmann
3
カケス
Carrulus glandarius japonicus Temminck & Schlegel
4
ハタオリドリ
スズメ
Passer montanus saturatus Stejneger
5
アトリ
イカル
Eophona personata personata (Temminch & Schlegel)
6
カワラヒワ
Carduelis sinica minor (Temminck & Shlegel)
7
ホオジロ
アオジ
Emberiza spodocephala Pallas
8
ホオジロ
Emberiza cioides ciopsis Bonaparte
9
セキレイ
セグロセキレイ
Motacilla grandis Sharpe
10
キセキレイ
Motacilla cinerea robusta (Brehm)
11
メジロ
メジロ
Zosterops japonica japonica Temminck & Schlegel
12
シジュウカラ
ヤマガラ
Parus varius varius Temminck & Schlegel
13
ヒヨドリ
ヒヨドリ
Hypsipetes amaurotis amaurotis (Temminck)
14
ヒタキ
キビタキ
Ficedula narcissina Temminck
15
ウグイス
ウグイス
Cettia diphone cantans (Temminck & Schlegel)
16
ツグミ
シロハラ
Turdus pallidus Gmelin
17
ツグミ
Turdus naumanni eunomus Temminck
18
ジョウビタキ
Phoenicurus auroreus auroreus (Pallas)
19
ツバメ
ツバメ
Hirundo rustica gutturalis Scopoli
20
ブッポウソウ
カワセミ
カワセミ
Alcedo atthis bengalensis Gmelin
21
キツツキ
キツツキ
コゲラ
Dendrocopos kizuki shikokuensis (Kuroda)
22
コウノトリ
サギ
アオサギ
Ardea cinerea jouyi Clark
23
コサギ
Egretta garzetta garzetta (Linnacus)
24
ハト
ハト
(ドバト)
Columba livia
計
5
16
24
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